動物の交通事故

研究者や達人の目にうつる裏磐梯の魅力とは?

ここでは、裏磐梯をフィールドとして研究活動をしている方や、○○名人!、○○達人と噂される方々から見た裏磐梯の魅力をそれぞれの視点から語っていただきました。

【命をはぐくむことの先に見えるもの】 池田 睦宏

国道 289号荷路夫バイパス 荷路夫エコロード

■プロフィール■
いけだ・むつひろ
1971年埼玉県生まれ
都内のアウトドアメーカーに勤務し、遠征隊や探検家の特注品などを多数製作。その後、裏磐梯に移住し『Natural Bizネイチャースクール 』を設立し代表を務める。登山ガイドや学生向けの教育プログラムを通して、自然の素晴らしさや自然と共生することの大切さを伝えている。

現在は 福島県鳥獣保護センター の獣医師『溝口俊夫』氏らと共に【福島県自然警察鑑識課】を設立し、野生動物の救護・原因の究明&解析などから解決へ向けての提案を自治体等へ行なっています。また自然との共生を実践する国内でも新しい環境配慮型国道改良工事へのサポートや工事エリアの周辺の環境デザインの提案も進行しています。

第 3回裏磐梯エコツーリズムカレッジ講師(テーマ:ロードキルから考える動物と人の共生について)


交通事故死したテン

橋の上で逃げ場を失い轢かれた冬毛のテン

動物の交通事故と聞くといったいどんなイメージを思い浮かべるだろう。市街地では犬や猫、里山や山間部ではタヌキやイタチのほかにカモシカなどの大型の哺乳類がわれわれ人間社会の犠牲として加わってくる。事故の瞬間に立ち会うことはないだろうが、事故後の現場に残された轢死体、破裂した内臓や肉片、路上に広がった大量の血液を見つけて不快に思ったり、それらをよけて通ったという経験は誰にでもあるだろう。しかしそれらの感情は自分のペットが自動車にはねられたものとは違うし、ましてや人身事故とは大きく異なると思う。

原因に効率化や快適さを優先して直線化(スピード化)する道路や、周辺を囲む側溝やフェンス等の人工建造物。余りにも無神経な管理計画により道路わきに実の生る街路樹を植栽するなど、餌を求める動物達を道路に誘引してしまう。

このように動物達の死に少なからず人間が関与しているのであれば、私達はその命を守ることの責任を果たさなければならないと思います。動物達の目線で見て、そして考えてあげるとこ。『命を大切にする』この気持ちを全ての人達と共有出来る日を願って…。

自分の大切なものが冷たい物に変わっていく。こんなことのないように、少しだけスピードを緩めてみよう。ほんの少しだけ周りに気を配ってみよう。相手を思いやる優しい気持ち、そこから事故は減っていくのだ。

(国立公園指定 50周年記念誌『裏磐梯』に筆者が寄稿した内容を一部抜粋)

■お勧めの本■

森林はモリやハヤシではない』 著者 四手井綱英

出版社:ナカニシヤ出版  発行: 2006年6月

環境問題を解かせたら森林は万能の優等生。地球温暖化の元凶である二酸化炭素を吸収し、酸素をはき出してくれる。谷川の清流が涸(か)れないのは森林の保水力のおかげ。だから森の木を一本たりとも切らないのが自然保護であり環境保全だ ……。

こんな熱烈な森林崇拝論に向けて、森林研究のプロ中のプロである著者はいつも冷水を浴びせるような発言を続けてきた。いわく、森林樹木も生き物だから酸素を吸って大量の二酸化炭素を排出している。森林の効用は酸素生産装置としてではなく空気中のCO2を樹木内や森林土壌中に固定し大量に蓄えておいてくれる点にある。いわく、森林があっても水が乏しい川もある。保水力は樹木だけの能力ではなく、森林土壌の質に左右される、などなど。

情緒的な森林万能論が多いなか、著者の発言はいつも冷静な哲人の趣があった。九十四歳の病床で編まれた珠玉の森林論。  評者・白幡洋三郎(日文研教授)のコメントを転載

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